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そのとき。

2012年5月21日その時、あなたは誰と居ますか?

 これはフィクションではあるが、可能性はけっして低くない、現実の物語を予想して書いてみた。

 2012年5月21日午前8時54分、その時が、突然街を襲った。

 この日、タクは名古屋で金環日食がはじめて見られる日ということを聞いて、一度は見てみたいとの興味本位から、彼女(カヨコ)と一緒に夜明け前より伊勢志摩へと出掛け、ともやまから太陽を見ていた。

 日食は午前6時15分ころからはじまり、7時30分前頃には、辺り一面が昼間なのに真っ暗になった。初めてのことに、タクとカヨコは今までに感じたことがない、感動に酔っていた。

 そして、午前8時40分頃に日食が終わって、感動もまだ覚めやらぬなか、カラスたちが突然飛びはじめ、まるで狂ってしまったように空を旋回しはじめた。まもなく、どこからか地面を切り裂く様な鈍い音が小さく聞こえた。

 タクはそれを見て、カラスも腹が減っているんだろう、そう思った。

 最初、ゴトッとした足の裏に鈍い衝撃を感じたその時だった。突然、コンクリート制の電柱が倒れはじめ、立っていることも出来ない激しい横揺れが体を襲い、そしてみるみる間に遠くの建物がみな倒壊していった。

 その凄まじい、悪夢のような光景は3分以上続いたが、実際には、10分、いやそれ以上の長い時間に感じた。兎に角、このたとえようもない恐怖が早く終わってくれることを、ひたすら願った。

 遠くでは炎があがり、炎の竜巻も見えた。タクとカヨコは、それを呆然としただ見つめていた。それから、車に乗り込んだ二人はエンジンを掛けラジオをつけた。民放だかNHKだかはわからないが、放送内容から、静岡から四国沖の広範囲でM8.7の地震が起こり、各地では凄まじい被害が出ているようだった。 

 父が地震研究家だったタクは、すぐさま高いところへ避難すべきと考えた。そして海面から30メートルほどの岸壁まで、やっと辿り着いたその時だった。あの激しい揺れから、まだ10分も経っていなかった。海の遠くに、山が見えた。

 最初はそれが、何なのかわからなかった。しかし、あっという間に迫ってきたその魔物の正体とは、高さがゆうに20メートルを超えているであろう、巨大な、炎をともなった津波だったのだ。タクはその時カヨコに言った、「ごめんね、こんなことになって」と。

 その直後、その津波が高さ30メートルの岸壁に叩きつけられたその瞬間、大地がドスッと揺れた。波しぶきは頭上を越えて、遠くまで飛んでいった。辺り一面の木々は折れ、何もなくなっていた。

-つづく- 

 炎の津波は、海溝深くにあるメタンハイドレート層のガスが、大陸棚の崩壊によって漏れ出し、海水を伝わったため化学変化を起こして、空気に触れて引火したものだった。そのとき、タクには津波と炎が何故一緒になってやってきたのか、その理由など分かるはずがなかった。

大きな岩のあいだに体を沈め、何とかこの難を逃れたタクとカヨコは、このあと、直ぐにやってくるであろう第二波そして第三波の、巨大津波を想像した。この時、岸壁の下に残してきた車は姿もなく、道路も無くなっていた。津波は、真珠養殖のイカダを次々に壊して湾の中へ入り込んでいくのが見えた。

「もっと高いところへ逃げなければ、このままでは駄目だ」タクはカヨコにそう言うと、震えで足腰が立たなくなっていたカヨコの手を引っ張り、さらに高い岩壁の上をめざして登った。まだガタガタガタとした揺れが続いていたが、何とか必死に、登った。その時カヨコが言った「もう嫌だ」「まだ死にたくない」と。

-つづく-

 それでも、やっとの思いで高さ40メートルまで登った、その時だった。高さ30メートルの津波・第二波が、やはりやってきたのだ。

 タクは言った。「何とか助かった」。だが、タクやカヨコにはまだわかっていなかった。これから救助隊がやってくるまでの5日間、水や食料を確保しなければならないことが。そしてまだ5月だ、夜の冷え込みに備え、壊滅した津波のあとを彷徨いながら、避難する場所を探さなければならないのだ。

 何度も何度も繰り返しやってくる津波を見ながら、タクは子供の頃から父親が言っていた言葉を、その時になってやっと思い返していた。また、都会で暮らすうちにすっかり忘れていた、子供の頃に父親に連れられてはキャンプに行き、何度か水難に見舞われたときのサバイバル生活を思い返した。

 カヨコが震えながらタクに言った「ねぇ、私たち生き残れるかな」。 タクはカヨコを強くだきしめて言った「大丈夫だから、俺に任せて」と。というのが、タクには自信があった。この近くにある、地元の人が『さんとうさん』と呼ぶ場所に、子供の頃、何度か家族で遊びにきて、青ウニや魚を捕ったことがあるからだ。また、そこには湧き水が流れ落ちていて、その水で体を洗ったりしていたからだ。 

 だが、タクはこの考えが甘かったことを、後になって知ることとなる。 地震によって水脈がかわり、湧き水も止まったことなど、タクには分かるハズなどなかった。

-つづく-

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 こちらを先に書き終えようと、サバイバル本を何冊か購入し、準備していたのですが、9/5に父が脳梗塞で突然倒れまして、バタバタしている間に1.5ヶ月が過ぎてしまいました。 昔読んだ本とあわせて、全部読み終えたら、続きを書きます。

御免なさい。m(__)m
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