■一般的に木造在来工法の住宅家具止めにくらべて、RC造マンション等の家具止めは、
素人には難しいとされている。しかも、安価でハイ喜んでと、家具止めだけをやってくれる
業者様も少ないとお聞きします。
今日は、御縁があり関東地方にて2物件RCマンション家具止め施工をやらせていただい
た写真を元に、止め方を説明したいと思います。

この写真は、総重量はかるく200kは超えるであろう、大型のサイドボードを、私が固定した
ものです。白く見えるロープは、旧テザック社制のハイテクロンN30という、ケブラー繊維製
のロープを使っています。直径3mmで、引っ張り強度は結び部分で約318kという優れモノ
です。
◆これだけの大きな家具が、突然襲ってくる激震で倒れてきたら、まず無事ではすまない。◆
下敷きになれば怪我をする事や、また動けなくなりその後に襲ってくる火災や火災に伴う有毒ガスによって命を落とす事になってしまう可能性が有ります。
地震発生のあと、家具の下敷きとなって身動きがとれなくなり、火災や火災に伴う有毒ガスが近づいてくる恐怖を想定して頂ければ、"家具止めの重要性を理解して頂ける"と思います。
◆用意するもの◆
1、コンクリートに取り付け固定できるボルトナット >商品名 オールアンカ 5mm×50mm(長さ)以上のもの。
2、ワイヤーかヒュートンかゲブラー繊維ロープで、家具重量の3倍程度の強度が有るものが、地震のさいの応答加速度を考えた場合に望ましいと考えます。
3、ステンレスビス径4mm以上のもの。(ビスの長さは私の場合、50mm以上のビスを使って、下穴を小ドリル(2.5mm)で開けてから、天板と側板と金具を連結します。)
4、1、2、3、に適した止め金具を、必要数だけ御用意ください。
5、【工具】コンクリート穴あけ用振動ドリルと、充電ドライバーかインパクトドライバを御用意ください。手持ちがなければ、一度使うだけならば借りた方がよいと、私は思います。
6、家具の高さによって、踏み台(脚立等)を用意してください。

■それでは、具体的な施工手順を説明します。
1,金具に直径5mm以上の穴が開いていることを確認する。
2,取付け位置を決め、金具を壁側に当てて穴のセンターに鉛筆で印をつける。
3,印をつけたら、オールアンカの埋め込み部分の長さを確認し、その埋め込む深さまでの穴を、コンクリート用振動ドリルであける。
(RC造と鉄筋について > 鉄筋コンクリート造の場合、主に梁式と壁式構造の二つに分けることが出来ます。通常、どちらも鉄筋はダブルになっており、壁の外面から鉄筋までの被覆コンクリートが3-4cm、一般的にはあります。※運が悪く鉄筋に当たってしまった場合、位置を少しずらしてやれば大丈夫です。)
4,穴の中を掃除し、オールアンカを差し込み、圧接固定のピンを打ち込みします。必要数だけ取り付けてください。これでオールアンカの取付け固定は完了です。
5,次に、取り付けたオールアンカに固定用の金具を取付け、確りとボルトナットを締めてください。
(※ここで、オールアンカの取付けが不完全ですと、アンカが抜けてきますので、"注意"です。)
■次は、家具側の金具取付けです。
1,家具の天板が側板や背面板と確り繋がっているかどうかを、天板を強く持ち上げ確認してください。
(※注意 >天板が確りと固定されていると、思いこんではいけません。必ず確認してください。)
2,取り付ける金具に直径4mm以上の穴があいていることを確認し、ステンレスビスで固定してください。
(注意1、家具材質の硬さにより家具が罅割れてしまうことがありますので、2-3mmのドリルで下穴をあけることが望ましいです。)
(注意2、天板が確りと固定されていない場合、天板の厚みよりも2-3cm長いビスを使って、縦方向の側板までビスを締め込んで固定してください。)
(注意3、天板には、合板で作られており中は中空になっているものも有ります。この場合、トンカチかなにかを使って、かるく叩き 音の違いによって中空がないか確認することです。中空部分で固定しても、無意味なのでご注意ください。)
◆【家具固定は確実に。せっかく止めてあっても、不完全だと、いざというときに無意味です。】◆
(阪神淡路地震直後にボランティアで現地入りし確認している者として、また、中越地震の事後とも深くかかわってきた者として、アドバイスさせて頂きます。地震動を甘く見ないことです。)
つづく